2025年11月21日金曜日

民生水道常任委員会視察(2)大田区 羽田イノベーションシティ

 民生水道常任委員会視察2日目、羽田イノベーションシティを訪問しました。



大田区の羽田空港沖合展開事業に伴い生じた「羽田空港跡地第1ゾーン」につくられた、「新産業創造・発信拠点」です。


戦前、この辺りは羽田鈴木町、羽田穴守町、羽田江戸見町の3町が栄えていましたが、終戦後に「48時間の強制退去」を命じられた歴史があるそうです。




現在は、大田区が国より土地を購入し、その土地を羽田みらい開発株式会社(9社で構成)が50年の定期賃借をして、羽田イノベーションシティ(建物施設)を整備されました。


コンセプトは先端産業と文化産業の2つをコアとする新産業創造・発信拠点。区設置のイノベーション拠点「HANEDA PIO」、空港関連産業のイノベーションラボ「terminal.0 HANEDA」、ライブホールなど、多様で魅力的な12のエリアで構成されています。隣地には、3.3haの都市計画公園も整備予定ということで、イベントや足湯も楽しめる、憩い・賑わいの場としてもまだまだ拡大されるようです。





もともと大田区は、製造業が東京23区の中でも多く、3,584社ある“ものづくりのまち”。リーディング産業の基盤となる技術を支える中小企業が多く、それぞれの技術の強みを活かして連携する“仲間まわし”と呼ばれる企業風土もあり、ハードウェアソリューションのまちとして、発展を遂げてこられました。

羽田イノベーションシティでは、ベースとなるものづくり、匠の技術に、新産業創造・発信をサポートしてイノベーションを創出し、大田区として「新産業と匠の技が融合するイノベーションモデル都市」を目指されています。


また、自動運転バスの実証実験も行われるなど、地の利を活かしながら実験の場としてスマートシティの取り組みを進め、HOIP2025大田区実証実験・実装促進事業は「ハードウェアスタートアップの聖地」を、目指しておられます。


terminal.0 HANEDA内には、大田区出身のレーサー岡谷雄太氏が代表を務められ結成された「HICity Racing Aprilia」のかっこいいバイクも展示されていました。






また、区が運営するHANEDA PIO内には、製品や技術の展示エリアがあり、こちらにもバイクが展示されていました。ひときわ目立つ、近大のブースも!






門真市も、さまざまな技術を持つ中小製造業が多く、ものづくりのまちとして、産業振興を推進しています。カドマイスターの認定やファクトリズムの実施など、高い技術の認知拡大を支援し、大阪関西万博においても、大阪ウィークで出展する市内企業のPRに務めました。

しかし、スタートアップのサポートや、ビジネスマッチングの促進についてなどは、まだまだ取り組みを進める余地があるように思います。門真市は、「ものづくりのまち」を掲げていますが、市民、市民以外の国民、日本以外の世界の人々に果たしてどれほど認知されているでしょうか。今回視察させていただいた羽田イノベーションシティの規模の施設設置はむずかしいとしても、コンパクトシティ門真市ができるイノベーションを、市内企業と連携して、市内外にさらに強力に発信していくことで、未来が拓けるのだと思います。

有意義な視察をさせていただきありがとうございました。

大阪、門真も、負けてられまへんで😉



2025年11月20日木曜日

民生水道常任委員会視察(1)八王子市

民生水道常任委員会の視察で八王子市役所を訪問しました。




八王子市がん検診におけるPFS/SIB導入の経緯・成果を調査しました。


SIB(Social Impact Bond)導入モデルとは

「社会課題と認識しつつも、成果が出るかわからず、公費の投入が難しい事業において、民間の資金と創意工夫によるノウハウを活用し、市民に対しこれまでとは違う働きかけを行い、受託者には事業の成果に応じて委託料を支払う」(八王子市ホームページより引用)


八王子市では、大腸がん検診、精密検査の受診勧奨を、民間事業者が従来と異なるアプローチで実施し、それぞれの受診率と精密検査受診後の早期がん発見者数を成果指標として、成果連動型の委託料支払いとしました。


ナッジ理論を活かしたオーダーメイドの個別受診勧奨で、大腸がん検診受診率、精密検査受診率を引き上げ、結果としてかかる医療費が少なくて済むので、成果連動型委託料を支払っても、市の便益は確保されるという考え方です。(医療費は、京大大学院医学研究科の協力により「進行大腸がん医療費」と「早期大腸がん医療費」の差額は約615万円と指標設定)


今回の成果を活用して、乳がん検診においてもPFS(成果連動型民間委託契約方式(PFS:Pay For Success)を導入し、成果を挙げられました。


門真市においても、がん検診受診率の低さは大きな課題なので、これまでにはない手法として、たいへん興味深くお話をお聞きしました。

門真市の場合は、人口規模が小さく(八王子市の約5分の1)、PFSやSIB事業を実施するには、目標値や効果額の設定によって事業スキームが民間と合致するのか、かなり高いハードルがあるように思います。

しかし、本日お聞きしたお話の中で、大腸がんは死亡者数が男性2位、女性1位と急増しているがんで、毎年の受診により死亡リスクを60〜80%減らすことができることから、ナッジ理論を活用してこの辺りの情報を市民にわかりやすく、自然に伝える手法は、参考になるノウハウだと思いました。

門真市でもすでに、がん検診をWEBでいつでも予約可能にするなど、取り組みは進めていますが、さらにバージョンアップする余地はありそうです。


オーダーメイドで個別勧奨が届くと、「あなたの大腸がんリスクはこれだけありますよ!」と言われているようなものなのでドキッとして受診率も上がりますね。

命を守るための検診ですから、インパクトの強い言葉も取り入れて、上手に勧める工夫は有効だと思います。


その一方で、個人の健康に関する個人情報が、不適切に使われはしないか、が疑問です。この点、契約時にきちんと個人情報保護の適切な管理が盛り込まれていることを確認しました。


がんによる早すぎる死を1人でも減らす、そのための受診勧奨の、手法の一つとして、先進事例を学ばせていただき、ありがとうございました。


八王子市は絹織物などが名産で、ラーメン屋さんがとても多いまちだそうです。刻み玉ねぎのトッピングが特徴だとか。八王子市にお出かけの際は、ぜひラーメンをお召し上がりくださいね😊