令和3年11月25日、内閣府講堂において、「未来をつくる若者・オブ・ザ・イヤー」の表彰式が挙行され、KADOMA中学生勉強会 代表の、八上真也氏が、内閣府特命担当大臣表彰を野田聖子大臣より授与された。20代半ばの若き門真市民の活動が、大臣表彰という最も高い評価で認められたことは、稀にみる快挙であり、敬意と祝意をこめて、ブログに記録させていただく。
ご報告に来られた八上氏と
受賞記念のクリスタルガラス盾
(八上雅之氏Facebookより)
◇一貫した信念
八上真也氏と、最初にお話をする機会を得たのは、彼がまだ大学3回生の頃である。門真市から大阪府立大学に通いながら、東淀川区が生活困窮世帯の中学生を対象に実施していた、中学生勉強会に、ボランティア活動として、参加されていた。そして、門真市においても、このような活動を実施すべきである、子ども達に居場所と学習支援の場を整備するべきである、と強い信念を持って、語られた。その後すぐ、私は、東淀川区の中学生勉強会を視察させていただき、子どもたちの様子を見ながら、「塾ではない、勉強を教えてもらえる居場所」の必要性を強く感じた。これについては、2018年3月議会において、自民党代表質問として市の学習支援について質問している。
2018年3月議会代表質問より(抜粋)
http://harukoikeda.blogspot.com/2021/12/20183.html
門真市は、子どもの健全育成事業として、独自の伴走型学習支援策を行っているが、八上氏は、中学生勉強会の必要性をブレることなく貫き、とうとう、幼馴染の男子と力を合わせ、お二人が中心となって、2018年10月、大学生主導のボランティア団体、KADOMA中学生勉強会を立ち上げた。
スタート当初は、老朽化していた文化会館(令和3年閉鎖、現在解体工事中)の一室を使用していた。かなり古い建物で、子ども達が勉強しに来るかな?とひそかに心配していたが、なんのことはない、「無料で、大学生に、勉強を教えてもらえる居場所」は子どもたちにとってたいへん魅力的であるのだろう、続々と受講希望者が集まった。逆に、最初はボランティア大学生を集めることに、苦心されていたようだ。また、どこからも予算のつかない、手弁当のボランティア活動のため、資金集めにクラウドファンディングで寄付を募るなど、軌道に乗せるためにさまざまな工夫を凝らし、奮闘されていた。
しかし、この活動が、地に足の着いた、信念に基づいた活動であり、門真の子ども達、家庭環境に関係なくすべての子ども達に、高校進学、大学進学の選択肢を拡げ、未来への希望の扉を大きく開くことを目指しているものだということが知れ渡っていくに連れ、徐々に、賛同者、協力者が周囲に集まってこられた。場所も、指定管理者トイボックスの協力を得て、門真市民文化会館ルミエールホールへと移転した。資金面でも、寄付のみならず、民間の助成金なども積極的に活用され、ボランティア大学生も多数参加されるようになった。
そして、勉強会立ち上げから丸3年の月日を経て、4年目にして、大臣表彰の栄誉に輝いたのである。
◇子ども達のために
門真市において、この活動を立ち上げられ、わずか4年目にして国の大臣表彰を受けられた、ということについて、納得の理由が十分にあるので、ご紹介したい。
まず、第一に、大学生ボランティア主導の勉強会であること。最初、事業のモデルとされたのは、東淀川区の中学生勉強会だが、これは区の事業であった。すなわち、区の予算が付き、人員が配置され、場所が設置される。ところが、KADOMA中学生勉強会は、大学生のボランティア活動として発足した。予算も、場所の交渉も、人集めも、すべて大学生自ら整えねばならない。しかも、営利がいっさい発生しない、ボランティアとして。
これは、たいへんだったと思う。かなり苦労をされたことと思うが、しかし、だからこそ結果として、多くの賛同者の協力が集まることになった。
また、受講した生徒と保護者の感想文を見せていただいたが、ほどんどの皆さんが、感謝と、お礼とを、とても丁寧に記しておられた。自分もまだ学生の若者たちが、門真の子ども達の未来のためにと、(ほんとうの兄、姉ではないのに)まるで兄弟のように、優しく楽しく、明るく親切に、勉強を教えてくれて、高校に合格した、これがほんとうに、嬉しかったのだろう、感謝の言葉にあふれた文章ばかりであった。
第二に、未来をつくる人を育てる活動であること。これは二つの意味がある。ひとつは、中学生達に高校進学、大学進学の選択肢を広げて、未来の可能性を拓くこと。もう一つは、参加する大学生たちが、ボランティア活動を通して、経験を積み、自信をつけて、優しさを育み、後輩たちの成長に携わることができること。これらはすべて、若者の「人としての成長」に直結する。また、ボランティア大学生向けの座談会も開き、就職活動の参考になり、人脈のひろがりにもなっている。人財育成として、たいへん充実していると思う。
第三に、社会課題の研究に有用な活動であること。KADOMA中学生勉強会は、これまでさまざまなアンケートや情報収集を分析することにより、研究に有用なデータを積み上げている。(個人情報には配慮が施されています。)
門真市内における自習室の数の少なさについても、データで提示されていた。私を含め、問題意識を持った複数の議員が市議会で取り上げ、トイボックスの協力でルミエールホール内に自習室が設置されるなど、門真市内の自習室の数を増やすことができた。
最近では、非認知能力の向上が、勉強会参加によって、顕著に認められるところが一部あり、キャリア教育としての成果も、大学との協働研究で明らかにされている。現在の中学生の学習を支援するだけでなく、まさに未来をつくる、研究成果につながる活動なのである。
◇ご家族に育まれて・・
このような素晴らしい活動の足跡を間近で拝見し、大臣表彰も順当であると感服している。まだ20代半ばの若者である八上氏が、これだけの活動ができるのは、ご本人の能力の高さはもちろんであるが、これまで育ててこられたご両親の愛情の深さの賜物であるに違いない。八上氏のお父上様、八上雅之氏は、Facebookに頻繁にご家族のお写真を投稿しておられ、ご家族への愛情にあふれたお父様である。
ご受賞の記念の一枚
(写真はいずれも八上雅之氏Facebookより)
真也氏が小学生時代に6年間、地元のスポーツ少年団『門真リトルユニオンズ』で野球をされていた時は、土日は試合のごとに可能な限りご夫婦で(時に妹さまもご一緒にご家族で)応援に行かれている。 また、小中学校行事から、ルミエールホールでの成人式まで、いつも欠かさず駆けつけ、全力で、ご子息とご令嬢の応援をされてきた方なのである。それは、お子様たちの幼少期から、小学生、中学生、高校、大学と、ずっと成長の記録を撮りため、家族写真を大切に大切に保存しておられることからわかる。まさに、松岡修造もかなわない、熱すぎるぐらいに熱い、子ども達の最強最高の応援団長が、お父様の雅之氏であり、美人で慎ましやかな奥さまがぴったり寄り添い、家族一致団結して子育てを成し遂げてこられた。
おかげで、親戚ではない私も、お子様たちのこれまでの成長過程を拝見しているので、遠い親戚のような感覚で、ご活躍を応援し、今回のご受賞も、ご両親様とともにお慶びの気持ちをわかちあえる。
お父様の雅之氏が、お子様たちが生まれた時からずっと、全身全霊で応援し続けてきたことが、自己肯定感を育み、何事にもチャレンジできる原動力につながっているのだと思う。
その結果として、真也氏も、妹さまも、ご両親の深い愛情に対し、無意識のうちにも最大限応えようと、信念を持って、自分たちの力を発揮して、たくましく人生の歩みを進めておられる…Facebook上でそんな風に拝見しているのは私だけではないだろう。これからのご家族写真、どんなふうに新たなページが重ねられていくのか、楽しみだ。
八上家の皆さまには、これからますますのご活躍と、ご健勝をお祈りし、大学生ボランティアの皆さまをはじめKADOMA中学生勉強会に関わる全ての方に、心よりのお慶びを申し上げたく、このブログを記録させていただきました。
誠におめでとうございました。
令和3年12月13日
門真市議会議員 池田治子