2016年11月11日金曜日

衆議院議員 小泉進次郎先生

本日最初の講義は、衆議院議員 農林部会長 小泉進次郎先生。
テーマは「なぜ今、農政改革か」。以下講義メモです。

2009年初当選。野党の時に国会議員となり、とても勉強させてもらえた。また青年局として全国を周り、地方議員にいかに支えられているかということも感じてきた。

【農業の本当の課題】
農林部会長として、全国キャラバンを始め、兵庫県の若い農家の方から、貴重なご意見をいただいた。「TPPに注目しすぎて「拙速に」ものごとを決められるのが不安。しっかりと長い目で、農業の構造的な課題に取り組んでほしい」まさにその通りだと思い、取り組んでいる。

【骨太方針】
骨太方針策定PTを立ち上げ、TPPと同時に、元々あった課題への対策に取り組んで、今、最終調整中である。その柱は、6つ。
�農業の人材力の強化
�肥料、農薬、機械、種などの生産資材の価格引き下げ
�流通加工構造の見直し
�輸出の強化
�チェックオフ すべての農業者から手数料を徴収し、作物のPRをする
�原料原産地表示

今の農業が、「持続可能性」を失っていると思う。この20年で、生産量も所得も右肩下がりが続き、今や農家の平均年齢67歳。米農家に限れば70歳。本当に農業の課題はTPPだろうか?

【農協】
日本の農業が、利益を出さなければいけないのに、「経営」がなされていない。コスト意識、経営感覚が根付いていない。農協組織は全中・全農(商社機能)・農林中金(金融)・全国約600の農協。農業協同組合は共同購入ができるメリットがあるのに、ホームセンターで購入する方が安い。これはおかしい。農協を変革しなければいけない。
農協は「金融で稼ぐ」のではなく、「農産品を作って売って、農家のみなさんも豊かになって、農協も商品販売で稼ぐ」という「当たり前のありよう」にしていかないといけない。

群馬県で、農業機械の部品を一点から作るサービスがある。農家にとっては数百万の機械更新コストが安くなる。農協は、この事業をサポートすべきであるのに、していない。農協の改革が必要。「団体栄えて農家が泣く」ことは絶対にダメである。優秀で若くてがんばっている農家の人が利用したくなる農協にしなくてはならない。

【輸出】
輸出。日本は60位。低すぎる。オランダは九州とほぼ同じ人口で大きさであるが輸出は2位。日本の農業は、もっと輸出できる。アメリカで神戸ビーフが売れている。農林水産物の輸出額、3年後、1兆円目標。今、北海道のホタテ貝が一番よく売れている。
世界に日本食の料理屋9万店ある。販路を確立しなければならない。

【人材】
そのために大事なのは人材力の強化。人が足りない。しかし、若い人は決して農業をやりたくないわけではない。イオンアグリの例、新卒生が1万人応募があった(雇用は40名)。ローソンファームにも、若者は集まる。労働環境も経営も整っている。今までの日本の農業は、家族経営。しかし新卒でいきなり家族農業は厳しい。意欲を持って農業をやりたい若者の人材育成のために、経営感覚のある企業農業を後押しする。全国に農業経営塾もつくる。

【中山間地】
日本の中山間地は国土の7割。耕地の4割。新しく中山間地のことを考える。「カマンベール」「シャンパン」という一つの村、地方の名前を冠しながら世界中で売れる商品もある。「オーガニック」の拡充。中山間地だからこそ付加価値をつけて高く売れるものを作る。大分県大山町農協の事例。農協ごとオーガニック。

【その他】
・農林水産業、いくらでもやることがある。農業女子プロジェクトもある。日本の農業の抱えている課題を前に進めていく。
・最近人気のシャインマスカット、白いイチゴは国が品種改良して開発した(これはあまり知られていない)。
・食料自給率。日本においては、えさは海外より。調達(輸入)力と生産力が必要なので、100%目標ではないが自給率は上げていく。せめて50%に。ゆめぴりか、北海道。気候変動で、おいしい米が北海道でできるようになった。バナナも国産でできるようになる。気候変動も考慮した品種開発。
・税制改正で、有効な農地で持ち主が農業をしないところには、課税する。農地バンク(中間管理機構)の機能強化。
・全国すべての都道府県、市町村に自民党議員がいる。この組織力で、好循環を回していくことが重要。全国で2000万票の得票数があった。責任を持って国勢に臨んでいく。