2016年11月25日金曜日

くすのき広域連合議会 行政視察(2)武蔵野市

くすのき広域連合議会、行政視察二日目は、武蔵野市を訪れました。

武蔵野市は、東京の真ん中。戦後、広々した畑であったが、吉祥寺を中心に発展してきた。明日、「ケアリンピック武蔵野2016」が開催され、介護、看護に携わる永年従事者の方々の表彰などが行われる。

財政運営は比較的安定しているが、インフラの更新の時期に多額のコストが必要になると見込んでいる。3年前に、公団住宅の高層化とそれに伴うマンション誘致により人口が一気に増加。子どもの数も増えた。

今後10年で、介護従事者は1.3倍の人数が必要になる。ケアリンピックで表彰を始めたのは、このような事情もある。現在従事している方にさ、引き続き市民のためにがんばっていただきたい。

武蔵野市の介護サービスの特徴は、「訪問介護が多い・通所介護が少ない」。単身世帯、高齢者のみ世帯が多いため。
「特定施設入居者生活介護が、ダントツで多い」比較的所得が多い高齢者の方々が有料老人ホームに入居されるため。特別養護老人ホームも多い。
潤沢なサービスを整えている分、介護保険料基準月額も高い。

武蔵野市では平成12年3月に、介護保険条例と同時に高齢者福祉総合条例を制定。武蔵野市は福祉公社を昭和55年から、リバースモーゲージを56年からと、高齢者福祉にとても早くから取り組んでいる。介護保険制度には、当初反対した。しかし、制度が始まったので、体制の充実をはかり、すべての高齢者を網羅するために、総合条例を作った。

地域包括ケアシステムの中に、「交通体系」を入れている。コミュニティバス「ムーバス」。特注で高齢者用に車両を作り込んだ。7路線、9ルート。200m間隔でバス停設置。利用率高い。レモンキャブは市民が運転する輸送システム。

市役所に基幹型包括。市内に6カ所の包括。一人一人にきめ細やかな対応ができている。

【第6期介護保険事業計画骨子】
「いつまでもいきいきと健康に」「ひとり暮らしでも」「認知症になっても」「中・重度の要介護状態になっても」住み慣れた地域で生活を継続できる。
「地域包括ケアシステム」→「まちぐるみの支えあい仕組みづくり」と読み替えて統一使用している。

【各施策】
「テンミリオンハウス」(補助金上限1000万)
週5〜6日。一石3鳥。空き屋対策。参加高齢者が元気に。運営する人が元気に。市内7カ所(もうすぐ1カ所増)。
「レモンキャブ」
有償市民ボランティアが運転。自力で公共交通機関を利用できない人が利用。タクシー業界との調整。
「いきいきサロン」
町名が51個あるので、51カ所目標。今年度11カ所。個人自宅の改修、団地の集会室など、週1回体操や脳トレなど。安否確認もできる。介護予防。
現在高齢者の8000人ひとり暮らし、6000世帯が高齢者のみ世帯。2025年には25000人が単身または高齢者のみ世帯。
「高齢者安心コール」
毎週決まった曜日、時間帯に、専門職が電話で安否確認。月500円。
「高齢者なんでも電話相談」
24時間365日。専門職が傾聴。

その他、「認知症高齢者見守り支援ヘルパー」
「ものわすれ相談シート」などなど多数。

【総合事業の考え方】
「多様な生活支援の充実」
「地域における支え合いの推進」
「社会参加による介護予防の推進」

【武蔵野市認定ヘルパー制度】
軽度者への家事援助など、もとめられているサービスの8割は、高度な専門性のある有資格者でなくともよい。研修を受講し、ヘルパーの資格は持たない市民が「武蔵野市認定ヘルパー」として総合事業の家事援助に関してのみ従事できる。実働につなげていくことが課題。
介護人材の裾野をひろげて育成している。

「訪問型サービス」「通所型サービス」
包括報酬制から一回毎の報酬に変更。市独自の基準。国の基準を超えてしまわないように運用。

「在宅医療・介護連携支援室」を医師会の中に設置。

武蔵野市の場合、たいへん充実した福祉サービスを構築されていますが、それができるベースのひとつには、厚労省との人材派遣、意見交換など、国の部署との日常的なやりとりがあります。また、財政的に安定していることも大変重要なポイント。
「福祉の武蔵野」とずっと言われてきているとのこと。財政指数が高かったこともあり、福祉に常に先進的に取り組み、手厚い福祉の体制を築いてきた歴史があります。こうした先人のすばらしい実績があるので、この伝統を引き継いでいかなければならない思いがあるとのことでした。

総合事業については、やってみながら実状に合わせて修正を加えて運用されているとのことですが、大局的な考え方として介護制度そのものが、武蔵野の福祉サービスの、「(ごく)一部分(にすぎない)」、というところが、なんともすごいです。それだけ、市として独自で、先んじて構築しているということ。

さて、門真市はこれから総合事業を構築していくわけですが、市民のニーズに合わせたきめ細やかな事業推進の道のりは、なかなか険しいのではないでしょうか。既に高齢化がかなり進んでいる門真、2025年は目の前です。医療と介護の体制づくり、日常の高齢者福祉サービス。介護人材育成、認知症対策、訪問医療・・課題は山積みです。住民のいのちと暮らしを守る行政手腕が問われています。