2025年11月20日木曜日

民生水道常任委員会視察(1)八王子市

民生水道常任委員会の視察で八王子市役所を訪問しました。




八王子市がん検診におけるPFS/SIB導入の経緯・成果を調査しました。


SIB(Social Impact Bond)導入モデルとは

「社会課題と認識しつつも、成果が出るかわからず、公費の投入が難しい事業において、民間の資金と創意工夫によるノウハウを活用し、市民に対しこれまでとは違う働きかけを行い、受託者には事業の成果に応じて委託料を支払う」(八王子市ホームページより引用)


八王子市では、大腸がん検診、精密検査の受診勧奨を、民間事業者が従来と異なるアプローチで実施し、それぞれの受診率と精密検査受診後の早期がん発見者数を成果指標として、成果連動型の委託料支払いとしました。


ナッジ理論を活かしたオーダーメイドの個別受診勧奨で、大腸がん検診受診率、精密検査受診率を引き上げ、結果としてかかる医療費が少なくて済むので、成果連動型委託料を支払っても、市の便益は確保されるという考え方です。(医療費は、京大大学院医学研究科の協力により「進行大腸がん医療費」と「早期大腸がん医療費」の差額は約615万円と指標設定)


今回の成果を活用して、乳がん検診においてもPFS(成果連動型民間委託契約方式(PFS:Pay For Success)を導入し、成果を挙げられました。


門真市においても、がん検診受診率の低さは大きな課題なので、これまでにはない手法として、たいへん興味深くお話をお聞きしました。

門真市の場合は、人口規模が小さく(八王子市の約5分の1)、PFSやSIB事業を実施するには、目標値や効果額の設定によって事業スキームが民間と合致するのか、かなり高いハードルがあるように思います。

しかし、本日お聞きしたお話の中で、大腸がんは死亡者数が男性2位、女性1位と急増しているがんで、毎年の受診により死亡リスクを60〜80%減らすことができることから、ナッジ理論を活用してこの辺りの情報を市民にわかりやすく、自然に伝える手法は、参考になるノウハウだと思いました。

門真市でもすでに、がん検診をWEBでいつでも予約可能にするなど、取り組みは進めていますが、さらにバージョンアップする余地はありそうです。


オーダーメイドで個別勧奨が届くと、「あなたの大腸がんリスクはこれだけありますよ!」と言われているようなものなのでドキッとして受診率も上がりますね。

命を守るための検診ですから、インパクトの強い言葉も取り入れて、上手に勧める工夫は有効だと思います。


その一方で、個人の健康に関する個人情報が、不適切に使われはしないか、が疑問です。この点、契約時にきちんと個人情報保護の適切な管理が盛り込まれていることを確認しました。


がんによる早すぎる死を1人でも減らす、そのための受診勧奨の、手法の一つとして、先進事例を学ばせていただき、ありがとうございました。


八王子市は絹織物などが名産で、ラーメン屋さんがとても多いまちだそうです。刻み玉ねぎのトッピングが特徴だとか。八王子市にお出かけの際は、ぜひラーメンをお召し上がりくださいね😊