本日1月23日、市民プラザにおきまして、門真七中校区学校地域協議会 講演会が開催され、参加しました。
テーマは「学力を支える家庭・地域の力 ーつながろう子ども達のためにー」。講師は、大阪大学の志水宏吉先生です。
以下、先生のお話より。
キーワードは「人間関係のつながりが、子どもの学力につながる。」
なぜ学力が大事なのか?それは、大人になってタフに生き延びるために、なくてはならないから。義務教育で小中学生にしっかりとした学力と、しっかりとした社会性をつけさせたいもの。
昔は、社会性は、学校外で普通に身につけていた。大家族だった時代は人間関係も豊富だったが、少子化で地縁、血縁が薄れ、人間関係も減少している。
日本で学力が高いのは、富山、福井、秋田。
低いのは大阪、沖縄、高知、北海道。
では、学力と相関関係がある指標は何か?
分析の結果、わかったことは以下の通り。
昔(1964年)「都雛(とひ)格差」 都会が学力高い、田舎が低い。
今(2007年)「つながり格差」 離婚率、持ち家率、不登校率が、学力との相関関係強い。
離婚率が高い→家庭と子どものつながりが希薄→学力が低い
持ち家率が低い→地域と子どものつながりが希薄→学力が低い
不登校率が高い→学校と子どものつながりが希薄→学力が低い
秋田県で調査した。子どもたちは、家族とのふれあい、地域とのふれあい、自然環境とのふれあいが豊富で、結果として落ち着いて勉強することにつながっている。
福井県で調査した。学力・体力がトップ。なぜか。
子どもたちを地域、家庭のネットワークの中で、学校がきちっと厳しく育てている。
(例)「無言清掃」掃除を全員が(先生も一緒に)一所懸命にしている。さぼる子は、いない。
「高学年遠泳」かなり厳しく指導。子どもらが海でおぼれないために、地域と家庭が100%サポートしているので、教師も全力で指導している。
「学力の樹」
A学力(葉)子どもらが勉強すること全て。知識と技能。見える学力。点数学力。
B学力(幹)思考力、判断力、表現力。応用問題で点数に現れる部分もあるが、多くは生活の中で培われる。
C学力(根)見えない学力。子どもの個性。持ち味。その子らしさ。
意欲、関心、態度。
子どもへの働きかけで一番重要なのはC学力。根っこの部分である。
家庭で子どもたちにC学力向上のため働きかけるキーワード3つ。
自尊感情 (根冠)
学習習慣 (ひげ根)
目的意識 (成長点)
自尊感情を育てるには、勉強ができない、わからない子に対して、その子の状態を見て、「ちょっと頑張ったら達成する課題」を設定する。できた時は褒める。次の課題を与える。その繰り返しで自信を育む。
学力向上のためには「本を読むことが好きな子」にすること。
子どもの意欲。それも大事だが、より大事なのは、習慣。
意欲は習慣からでてくるものである。本を読む習慣が本好きをつくる。
読書好きの子どもはどうやったらできるか?
「勉強せい」と言い続けることは最悪。口で言うと反発する。
「一緒に本読もうか」と呼びかける。親が、本好きになることが重要。
高知県の小学校の例。黒潮子ども応援隊という組織をつくっている。
4グループ13班。見守り。環境整備。学習支援。子どもの数より多い300人がエントリー。地域で学校を支援する「教育コミュニティ」。地域の子どもは地域の皆で育てる。子育ての終わったOB世代も社会人も、学校、という場所を拠点として、いろんな活動をしながら新たなネットワークをつくり、子どもを育てる。
大阪は、他県の例をそのままやることは難しい。都会には都会の、教育コミュニティ作りが必要。
以上です。たいへん興味深いお話でした。
資料の散布図で見ると、大阪の学力は陥落型、がくんと落ちています。
しかし、人間関係のつながり、という視点で、学力の根っこの部分(意欲、関心を高める)を育てていく、というのは、門真市のコミュニティがむしろ得意とする部分ではないでしょうか。志水先生のご研究、大いに参考になると思います。そして、やはり大切なのは読書習慣であるとのこと。門真市が策定している子ども読書活動推進計画にそって、具体的な施策がすすめられていくことに期待するところです。
教育のまち、門真(*^_^*)